夕顔-103 はぢらひ
女は顔をあかくして、
「山の端の心も知らでゆく月は
うはの空にて影や絶えなむ
――お頼みしているあなた様の心もたしかめられないわたしは、
途中ではかなく消えてしまうのではないでしょうか
心細うございます」
という。恐ろしがって、怯えてもいるようだ。あの狭く建てこんだ住まいに住み慣れているからだろうと、源氏の君はほほ笑まれる。
*** *** ***
女、はぢらひて、
「山の端の心も知らでゆく月は
うはの空にて影や絶えなむ
心細く」とて、もの恐ろしうすごげに思ひたれば、かのさしつどひたる住ひのならひならむと、をかしくおぼす。
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